このblogではテナント契約を交わす時の注意点をご紹介します。
契約前にやっておくこと
テナント契約の前にも、テナントを決める時にも検討しておく事や注意すべき点がいくつかあります。
店舗の業種やコンセプトに合うテナントを契約するためにも、まず最初にどんな物件が必要なのかをできるだけ具体的に考えておきましょう。
そのためには、お店の商品やサービス内容、営業規模、顧客ターゲットなど、「店舗のコンセプト」を明確に決めておくことが重要になってきます。
例えば立地に関してはサラリーマンがターゲットならオフィス街で駅近、家族連れがターゲットなら住宅街で駐車場付き、新規顧客をどんどん取り入れたいなら1階の路面店、隠れ家店として常連中心に営業したいならビルの2階以上など、あなたがどんなお店にしたいかにより、契約するべきテナントの条件も具体的になってきます。
その他にも次のようなポイントについて、事前に考えておきましょう。
ポイント
・エリア、立地、アクセス方法・ 駐車場の有無
・間口の広さ
・路面店か、2階以上か、地下階か
・周辺環境、競合店の有無、交通量、人通り
・テナント契約関わる費用(家賃、敷金、仲介手数料、お更新料等)
など
必要な条件を具体的に上げた後は、その条件にそれぞれ優先順位をつけておきましょう。
譲れない条件はどれか、妥協しても良い条件どれかなどです。
慎重に検討して決めるこたが大切です。テナント契約してから後悔しないように気をつけてください。
テナント契約時に必要な費用は?
テナント契約時に必要となる、主な費用について説明します。
かかる費用は契約するテナントにより変わってきます。契約を考えているテナントにはどんな費用が必要になってくるか明確にしておきましょう。
保証金(敷金)
家賃が滞った場合や修繕費の担保として物件の貸主へ預けるお金です。
家賃の5~10ヵ月分程度が相場ですが、人気物件では15ヵ月分~と高額となる場合もあり、物件によって費用が変わります。
基本的には契約終了時に返却される費用ですが、契約内容や物件の状態によっては一部が差し引かれて返還される場合もあります。
礼金
テナント貸主のお礼として支払うお金です。
家賃の1~2ヵ月分程度が相場です。
管理費
物件や入居ビルの管理維持、メンテナンスなどに使用するための費用です。
価格は物件によって異なります。
前家賃
家賃支払いは基本的に前払いです。
当月、翌月分の家賃を契約時に支払います。
仲介手数料
不動産契約を仲介してくれた不動産会社へ支払う費用です。
賃料の1ヵ月程度の金額が一般的です。
保険料
火災保険などへ加入する場合は、その保険料も必要です。
テナント賃料によっても必要な総費用は大きく変わりますが、契約時には前家賃や敷金、仲介料などでまとまった金額が必要になります。
また、その後営業を始めるためには内外装工事や機材・備品の購入など店舗の準備費用、営業が軌道に乗るまでの運転資金や生活費などの確保も必要となります。
テナント契約時のトラブルを回避するポイント
大きなお金が動き、その後の店舗営業にも影響の大きいテナント契約。
トラブルを回避するためにも下記の点をしっかり確認しましょう。
契約内容や特約、賃貸契約の種類を細かくチェック
テナント契約時には店舗の情報や契約内容を契約書でしっかり書面に残し、不動産会社から重要事項説明なども受けます。
契約書や重要事項説明書には物件の住所や概要、賃借料や保証金などの支払時期・支払い方法、物件の引き渡し時期など契約内容の詳細が載っているので、細かい部分までしっかりチェックしましょう。
例えば、賃貸契約には「普通建物賃貸借契約」「定期建物賃貸借契約」の2種類があります。
「定期建物賃貸契約」の場合は契約期間満了で自動的に契約が終了するなど、借主の権利が一部制限されます。
ほかにも契約解除に関わる事項や費用面など、特約事項で大家側に有利な条件が載っていることもあるので、特約内容についても忘れずに確認してください。
契約金の支払先や支払時期、手付金・違約金など
契約に必要な費用は保証金、礼金、家賃などは貸主へ、仲介手数料は不動産会社へ、保険料は保険会社へ…など支払い先がバラバラの場合があるためチェックしておきましょう。
・家賃の発生は契約日からか、引渡日からか
・契約から契約前に物件を押さえておくための手付金は必要か
・契約を取り消す際には、どのタイミングから違約金が発生するか
なども確認が必要です。
テナント解約時に多いトラブル ー現状回復工事ー
テナント契約で多いトラブルと言えば、解約時の「原状回復」についてです。
原状回復とは、賃貸契約を解消して借主が貸主へ物件を返す際には契約前の状態に戻して返すというルールのこと。
汚れや傷を清掃・修繕する以外にも持ち込んだ設備や備品を撤去し、契約後に壁や床、天井などの内装工事などを施した場合は、借主の責任と負担で元の状態へ戻す必要があります。
テナントをはじめ、賃貸物件においての原状回復ガイドラインというものがあります。これは国土交通省が公表しているものです。
テナントをはじめとした賃貸物件の退去時のトラブルや原状回復トラブルを未然に防ぐためつくられたものですので、ガイドラインには借り主として負担する場合や、逆に借り主に原状回復の義務がない場合のことなどが記載されています。
但し、ガイドラインはあくまでも指針ですので、あくまでも当事者間の契約が優先されます。
つまり、最初の賃貸借契約で定められていることを理解しなければなりません。
退去の際にどのようなことをすれば良いか、どこまで借り主が負担するのかなど賃貸借契約を確認するようにしましょう。
また、賃貸借契約書に退去の原状回復について詳しく記載が無い場合は、不動産会社などに確認しましょう。
現状回復が退去時の条件になっていいても、どこまでが借主の負担で、どこまでが貸主の負担なのかが曖昧になっているケースが多いです。
現状回復ガイドラインにも記載されていますが、一般的な考え方を説明します。
貸主側の負担
- 通常使用を超えるような破損や汚損、その他汚れや損耗については借主負担
- 掃除や手入れを怠ってできてしまったシミやカビの汚れについては借主負担
借主側の負担
- 通常使用における消耗の修繕費用は貸主負担
- 経年劣化におけるものの修繕費用は貸主負担