個人事業の始め方

個人事業の経理

事業を安定して継続していくためには、経理の仕事がたいへん重要になってきます。

売上や利益、借金の返済などの状況も把握しておかなければなりません。

少なくても簿記の基本は勉強しましょう。

経理って何?

経理とは事業運営をしていく履歴を、お金の面から記録していくことです。これにより今月の売上がいくらか、経費はどれくらいかかったか、利益はどれくらい残るのかなどが明確になります。

経理の主な目的は大きく分けて3つあります。

経理の目的

  • 納税額を算出する
    簿記により帳簿にお金の出入りを記録していくことで、納める税金の額を算出します。
  • 損益状況を把握する
    自由に動かせる資金の額や今後予想される出費を把握して、今後の事業計画に役立てます。
  • 融資を受けるための資料作成
    金融機関から融資を受けるための資料となります。

簿記って何?

簿記とは取引によって動いたお金や商品の流れを帳簿に記録していく作業のことを言います。これによって事業で得た収益や事業にかかった費用が明確になり、決算書の作成と納税額の算出ができるようになります。

これは個人事業主に対して、義務化されていますので、しっかりと理解することがひつようです。

簿記の方法には2つあります。

簿記ほ方法は2つ

  • 単式簿記(比較的簡単)
  • 複式簿記(複雑ではあるが、経営状態などの正確な把握に役立つ)

どちらも、記録した内容から納税額を算出して、税務署に確定申告することに変わりはありません。

しかし、どちらを選択するかによって青色申告特別控除額がかわってきます。もちろん複式簿記を選択したほうが控除額が大きいです。

ポイント

  • 単式簿記
    10万円控除
  • 複式簿記
    最大65万円控除(通常は55万円、電子申告すると65万円)

複式簿記を選択すれば、より高い節税効果があると言えます。

ただ、いきなり複式簿記というのはハードルが高いと思われる方もいると思います。費用はかかりますが税理士に相談したり、あるいは単式簿記を選択するのもありです。
単式簿記で経理を行っている事業主さんもたくさんいます。

経費って何?

経費とは事業を運営をしていくうえで、かかるさまざまな費用のことを言います。例えば店舗や事務所の家賃、電気代、店舗の改装費用、チラシなど宣伝にかかる費用などです。

これらの経費は勘定科目という科目で分類されています。

よく使われる勘定科目は次のとおりです。

勘定科目説明
租税公課租税公課とは、経費に該当する税金や公的な負担金のことを指します。
「租税」は、国や地方に納める税金です。印紙税や収入印紙代、登録免許税、自動車税、固定資産税などが該当します。「公課」は、各公共団体に納める交付金や会費といった、公的な課金・負担金です。印鑑証明書や住民票の発行手数料、商工会議所や協同組合、町内会などの会費・組合費などが含まれます。
なお、法人税や住民税など所得から支払われるものや、各種加算税・加算金、延滞税・延滞金、過怠税など法律違反に対する加算金・延滞金、交通違反の罰金などは、租税公課に含まれません。
広告宣伝費広告宣伝費とは、商品やサービスを販売するために必要な費用です。新聞や雑誌などメディアへの掲載料、宣伝に使用するためのウェブサイト制作費などが該当すると考えればいいでしょう。
広告宣伝費のポイントは、宣伝の対象が不特定多数であることです。慰安、接待、贈答などを伴う宣伝は、広告宣伝費ではなく「交際費」に振り分けられます。
販売促進費販売促進費は、製品やサービスの売上を拡大・促進するためにかかる費用です。混同しがちな広告宣伝費とのあいだに明確な区分はありませんが、販売促進費は、販売促進のためのキャンペーン費用、店頭POP・ポスターの作成費用、無料サンプルの費用、販売手数料など、直接的な販売促進のためにかかった費用となります。
修繕費修繕費は、建物や機械などの固定資産を修繕する際に発生する費用です。修繕費として認められるためには、点検や管理などのための費用であること、原状回復のための費用であること、定期的な修繕にかかる費用であることといった条件があります。
人件費人件費とは、雇用契約にもとづき、労働の対価として従業員に支払われる費用全般のことを指します。従業員への給与、賞与、退職金といったものが経費となり、住宅手当、役職手当なども含まれます。
ただし、社員の一部を対象とした旅行やレクリエーションなどは給与とみなされてしまい、経費に該当せずに課税対象となる場合があります。
福利厚生費全社員が使用できる制度に必要で、常識の範囲内の支給額であれば福利厚生費として計上できます。具体的には、社宅の賃料、通勤定期代、慶弔見舞金、慰安旅行費、忘年会や新年会の費用などが福利厚生費にあたります。
外注費外部の業者や個人事業主と業務請負契約を結び、業務の一部を発注した場合にかかる費用を外注費といいます。外注費は請負契約、またはこれに準ずる契約にもとづいた労働の対価であると覚えておきましょう。
減価償却費長期間にわたって使用する建物や機械などの資産を購入した場合、耐用年数に応じて少しずつ費用として計上していくことができます。このときの費用を減価償却費といいます。
例えば、耐用年数は、普通車なら6年、事務机やいすなどは8年、パソコンは4年といったように定められています。
繰延資産費用の中には、効果が1年以上の長期にわたって発揮されるものがあります。そのような費用は繰延資産として計上し、適切な期間で費用を配分することができます。つまり、本来ならば費用に該当する支出を、資産として繰延資産に分類することで、支出を減らして利益を増やすことができるのです。
繰延資産には、創立費、開業費、株式交付費、社債発行費、開発費などのほか、公的施設の負担金、建物・設備を借りたり使用したりするための費用、同業者などの団体への加入費用などを計上することができます。
消耗品費消耗品費とは、取得価額が10万円未満、または使用可能な期間(法定耐用年数)が1年未満の消耗品を購入した際の費用です。
例えば、文具やプリンターのインクカートリッジなどが該当します。デスクやパソコンといった固定資産にあたるものでも、価格が10万円に満たなければ、消耗品費として経費計上ができます。
雑費消耗品費との区別に悩むケースが多いのが雑費です。雑費には、明確な定義がありません。こまごまとした雑多な費用や少額な費用で、ほかの勘定科目に該当しない費用などに使われます。
交際費交際費は、事業関係者などとの飲食代で、会議や打ち合わせ目的の場合に、経費として計上できます。飲食費のほかに、事業用の茶菓子代、贈答品の費用、お中元・お歳暮の費用、仕事で関わりがある人の結婚式のご祝儀代など慶弔関連の支出も該当します。
接待交際費には得意先や取引先など、外部との関わりによって生まれる費用というイメージがありますが、会社の役員や従業員をはじめとする事業に関わりがある人に対する支出も含まれます。
ただし、交際費は線引きが難しいため、税務署からのチェックも厳しい傾向があります。「売上に結び付くかどうか」ということを意識して判断するようにしましょう。
旅費交通費旅費交通費には、会社の業務で使った交通費や、出張時の交通費・宿泊費が該当します。
研究開発費研究開発費には、従来にはない新たな製品やサービスの開発のための支出です。例えば、新製品サービスの研究開発のために参加した研修費用や、セミナー受講費なども該当します。
新聞図書費新聞図書費は、事業を行う上で有用な新聞や書籍、雑誌などを購入するための費用です。図書カードや地図、資料用のDVD、情報サイトの会員料金なども含まれます。
通信費通信費は、電話代やインターネット料金のほか、はがきや切手代・送料といった郵便料金などを指します。便箋は「消耗品費」、電話やコピー機などのリース料は「賃借料」「リース料」に分類されますので注意しましょう。また、郵便局から送る祝電やお悔やみの電報は、通信費ではなく「交際費」となります。

帳簿に経費を記載する際には、上のような勘定科目に分類して記入していかなければなりませんので、勘定科目表をコピーして、いつでも取り出せるようにしておくと便利です。

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